部下を注意するときの基準|どこまで言うべきか迷ったら

白と青グレーを基調にした静かな仕事系アイキャッチ。中央に「どこまで言うべきか」、下に「優しさと責任の間」という文字が配置されている。左では先輩スタッフが後輩に優しく声をかけており、「優しくしてあげたい」という吹き出しがある。右では軽く受け流しているスタッフが「言ったつもりだし大丈夫でしょ」と考えている。中央には悩んでいる人物のシルエットが描かれ、職場での優しさと責任のバランスに迷う空気感を表現している。 コンビニの仕事

仕事で部下や後輩を注意するとき、「どこまで言えばいいんだろう」と迷うことがあります。

細かく言いすぎれば、「何をしても注意される」と感じさせてしまうかもしれません。反対に、何も言わなければ、同じことを繰り返したり、本人や周りがあとで困ったりすることもあります。

スタッフに仕事を教える立場になってから、注意することについて何度も考えてきました。できれば怒りたくはありませんし、自分のやり方を何でも押しつけたいわけでもありません。

というのも、私自身もスタッフとして働いていた頃、注意をされたことがあります。

でも、注意されたのに「結局、何がいけなかったんだろう」「じゃあ次からどうすればいいんだろう」と、最後までよく分からないまま終わってしまったこともありました。

注意されたこと自体は覚えているのに、何を直せばいいのかが分からない。そんな経験があったからこそ、教える立場になった今は、ただ「それはダメ」と伝えるだけではなく、何が問題だったのか、なぜ伝えるのか、次からどうしてほしいのかまで分かるように伝えたいと思っています。

私がまず基準にしているのは、「自分が気になるか」ではなく、「仕事として必要なことか」です。

自分のやり方と違うだけなら、すぐに注意する必要はないと思っています。

一方で、安全やルールに関わること、お客様や周りのスタッフに影響すること、そのまま続けていたら本人が仕事をするうえで困りそうなことは、必要なこととして伝えます。

また、同じ出来事でも、入って数日のスタッフと、すでに何度も経験しているスタッフでは、同じ伝え方にはなりません。

今回は、私が部下やスタッフを注意するときに、何を基準に「言う・言わない」を考えているのか、実際の仕事で意識していることを紹介します。

この記事でわかること

  • 部下を注意するとき、どこまで言うべきか
  • 注意すること・すぐには言わなくていいことの基準
  • 入ったばかりの人と経験のある人で伝え方を変える理由
  • 注意するときに「事実」と「自分の印象」を分ける考え方
  • 相手の事情に配慮しながら、仕事として必要なことを伝える考え方

部下を注意するときは「仕事として必要か」を基準にする

私が部下やスタッフを注意するときに、まず考えるのは「これは仕事として必要なことなのか」という点です。

仕事をしていれば、細かいミスや、ちょっとしたやり方の違いは毎日のようにあります。

そのすべてを注意していたら、教える側も疲れてしまいますし、注意される側も「何をしても言われる」と感じてしまうかもしれません。

そこで私は、注意するか迷ったとき、おおまかに次のように考えています。

気になったこと 私ならどうするか
安全・衛生・仕事のルールに関わる 伝える
お客様や周りのスタッフに影響する 伝える
そのまま続けると本人が仕事上困る 伝える
同じミスや認識違いにつながる可能性がある 必要な部分を確認する
仕事の結果に問題がなく、自分とやり方が違うだけ すぐには注意しない
自分の好みや価値観だけが理由 押しつけない

もちろん、実際の仕事は表だけですべて判断できるわけではありません。

同じ出来事でも、その人が今どの段階にいるのかによって、伝え方や求めるところは変わります。

「自分のやり方と違う」だけなら、すぐに注意しない

教える側になると、自分が覚えてきたやり方を基準にしてしまいがちです。

でも、仕事の目的が達成できていて、安全面やルールにも問題がないのであれば、やり方が少し違うだけで注意する必要はないと思っています。

「私はこうやってきたから、あなたもこうして」という注意になってしまうと、仕事を教えるというより、自分のやり方を押しつけることになってしまうからです。

同じ結果になる方法がいくつかあるなら、本人がやりやすい方法でも問題ないことはあります。

同じことでも、入ったばかりかどうかで伝え方は変える

注意するかどうかは、「何をしたか」だけでなく、その人が今どの段階にいるかでも変わります。

たとえば、入って数日〜1週間ほどのトレーニング中なら、まだ仕事の流れや店独自のルールを覚えている途中です。

この時期にできていないことがあっても、すぐに「注意する」というより、私はまず教える側の伝え方も振り返ります。

  • まだ教えていなかったかな
  • 説明が足りなかったかな
  • 一度一緒にやったほうがいいかな

まだ知らないことを「どうしてできないの?」と注意しても、本人も困ってしまいます。

一方で、何度か一緒にやっていて、本人も理解しているはずのことが繰り返される場合は、「次から気をつけてね」だけではなく、なぜそのやり方が必要なのかまで改めて伝えることがあります。

同じ出来事でも、入ったばかりの人と、ある程度仕事を覚えた人では、伝え方や求めるところは同じではありません。

本人や周りがあとで困ることは、今のうちに伝える

反対に、「今は大きな問題になっていないからいい」と、そのままにしないようにもしています。

別のスタッフが同じ状況になったときに困ったり、お客様への対応に影響したり、その人自身が別の仕事を任されたときに困ったりするようなことなら、早めに伝えておいたほうがいいと考えています。

注意することは、相手を責めるためだけではありません。

仕事として必要なことなら、これから困らないために今のうちに伝える。

これが、私が考えている一つの線引きです。

実際にスタッフを注意するとき、私が考えていること

実際にスタッフの仕事について「これは伝えたほうがいい」と判断したときも、いきなり相手を責めるような言い方にはしないようにしています。

まず考えるのは、実際に起きたことと、自分がそう感じただけのことを分けることです。

たとえば、

「やる気がない」ではなく、

「お願いした作業が終わっておらず、終わらないことについて報告もなかった」

というように、本人そのものを評価するのではなく、実際に起きた行動を見るようにしています。

注意するときも、

  • 何が問題だったのか
  • なぜ伝える必要があるのか
  • 次からどうしてほしいのか

をできるだけ分けて話します。

「あなたはダメ」ではなく、

「このやり方だと、こういうところで困るから、次からはこうしてほしい」

という伝え方です。

そして、注意する場所やタイミングにも気をつけています。

お客様の前では注意しませんし、ほかのスタッフがいる前でも、できるだけ注意しないようにしています。

人前で言われれば、内容よりも「注意されたこと」そのものが気になってしまうこともあるからです。

ただし、時間を空けすぎると本人も何のことだったか分かりにくくなります。

そのため、必要なことはできるだけ間を空けず、話せる場所に移って伝えるようにしています。

注意する目的は、相手を責めることではなく、次に同じ場面があったときにどうすればいいか分かる状態にすることだと思っています。

店長がスタッフに仕事の注意点を説明するイラスト

注意したあとは「返事」ではなく行動を見る

注意したときに「わかりました」と返事があれば、こちらとしては「伝わった」と思いたくなります。

でも私は、返事ができたことと、その内容を理解して実際に行動できることは別だと考えています。

この部分は、「わかりました」という返事そのものを細かく分析するというより、注意したあとに行動がどう変わったかを見るという意味です。

「わかりました」の後に求めていること

たとえば「今日は○○をお願いね」と伝えて「わかりました」と返事をしたのであれば、時間内に終えられるように動く。

もし、どうしても終わらなさそうなら、そのままにせず、途中で相談したり、次のスタッフへ引き継いだりする。

私が見ているのは、返事のきれいさだけではありません。

「わかりました」のあとに、実際にどう動いたか。

注意したあとも同じことが続くのであれば、「言ったのに直らない」と決める前に、伝え方が足りなかったのか、理解できていない部分があるのか、別の理由があるのかをもう一度確認することも必要だと思っています。

急な欠勤では「休むこと」より連絡や引き継ぎを見る

体調不良や家庭の事情など、休まざるを得ないことはあります。

私は、休むこと自体を注意するつもりはありません。

学生スタッフなら試験前に休むこともありますし、学校や家庭の事情、体調についても、できるだけ柔軟に対応したいと思っています。

一方で、連絡できる状況なら早めに連絡する、必要なことがあれば引き継ぐなど、仕事として必要な部分は確認します。

無断や連絡不足が何度も続けば、現場が対応できず、ほかのスタッフにも影響します。

ここでも私が見ているのは、「休んだこと」ではなく、事情がある中でも、仕事としてできる対応をしていたかです。

部下への注意は「将来困らないため」に伝える

仕事として必要かどうかを考えたうえで、もう一つ私が意識しているのが、このまま続けたら本人があとで困らないかということです。

以前、仕事を教えてくれている先輩に対して、「はいはいはい」と少し軽く聞こえる返事をする人がいました。

本人には、まったく悪気がなかったと思います。その人にとっては、普段から使っている返事だったのかもしれません。

でも、相手によっては「軽く受け流された」と感じる可能性があります。

今の職場では大きな問題にならなくても、今後、別の職場や違う立場で働くことになったときに、その返事の仕方で本人が誤解されることもあるかもしれないと思いました。

そこで本人には、

「その返事は、相手によっては軽く受け流されているように感じることがあるかもしれないよ」

ということを伝えました。

叱りたいわけではありません。

正直、我が子くらいの年齢の人や、反対に私より年上の人へ「どこまで言っていいのかな」と迷うこともあります。

それでも、今気づけることで、この先本人が嫌な思いをする可能性を減らせるなら、伝えておいたほうがいいと思っています。

「今、注意したら嫌われるかもしれない」だけで判断しない。

ただし、「将来困るかもしれないから」という理由で何でも注意するわけではありません。

まずは今の仕事として必要なことなのか。そのうえで、このまま続けると本人があとで困ることなのか。

私はこの順番で考えるようにしています。

「仕方ない」と「仕事として必要」は別

仕事をしていると、本人の努力だけではどうにもならない事情もあります。

体調や家庭の事情など、本人が好きでそうなっているわけではないことを、その事情ごと責めるつもりはありません。

一方で、事情があることと、仕事として必要な基準がなくなることは別だと考えています。

本人が変えにくい事情そのものを注意するのではなく、仕事上必要な状態にするために何ができるかを一緒に考える。

たとえば食品を扱う仕事で、髪をまとめることが職場のルールとして必要なら、その基準自体は伝えます。

ここで大切なのは、「あなたはダメ」と否定することではなく、どうすれば仕事として必要な基準を満たせるかを考えることです。

私が意識している線引き

事情があるときほど、私は次の4つを分けて考えるようにしています。

  • 事情にはできるだけ配慮する
  • 理不尽なことからはスタッフを守る
  • でも、仕事として必要な基準は伝える
  • できない理由だけで終わらせず、できる方法を一緒に考える

「事情があるんだから仕方ない」と考えて何も言わないほうが、教える側としてはラクなこともあります。

でも、必要なことを伝えないまま同じことで何度も困るのであれば、今のうちに話し合って方法を考えたほうが、結果的に本人のためになることもあります。

注意することは、相手を否定することではありません。

相手の事情を理解しながら、それでも仕事として必要なことは伝える。その線引きを考えることも、教える側の役割だと思っています。

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まとめ|部下を注意するときは「仕事として必要か」で考える

部下やスタッフを注意するとき、「どこまで言えばいいんだろう」と迷うことがあります。

私も、気になったことをすべて細かく注意しているわけではありません。

まず考えるのは、それが自分のやり方や好みの問題なのか、それとも仕事として必要なことなのかです。

安全やルールに関わること、お客様や周りのスタッフに影響すること、そのまま続けると本人が仕事上困ることなら、必要なこととして伝えます。

一方で、仕事の結果に問題がなく、単に自分とやり方が違うだけなら、すぐには口を出しません。

また、同じことができていなくても、入って数日のトレーニング中なのか、何度も経験しているのかによって伝え方は変わります。

新人であれば、

「まだ教えていなかったかな」
「説明が足りなかったかな」
「一度一緒にやったほうがいいかな」

と、教える側の伝え方も振り返ります。

そして、実際に注意するときは、相手の人格ではなく起きたことを伝え、「何が問題なのか」「なぜ必要なのか」「次からどうしてほしいのか」を分けて話すようにしています。

注意するか迷ったら、まず「仕事として必要なことか」を考える。

そのうえで、このまま続けると本人や周りがあとで困らないかを考える。

事情にはできるだけ配慮する。でも、仕事として必要なことまで何も言わないのではなく、どうすればできるかを一緒に考える。

それが、私がスタッフを教える立場になってから大切にしている、部下を注意するときの基準です。