適当・いい加減・雑は何が違う?仕事で気づいた言葉のズレ

白から青グレーへグラデーションした静かな背景に、「適当・いい加減・雑」という文字が中央上部に配置された比較型アイキャッチ。左には整理された棚のイラストと「適当」、中央には少しラフだが整っている棚と「いい加減」、右には箱や書類が崩れて散らかった状態と「雑」が描かれている。下部にはそれぞれ○、≈、×の記号があり、似ている言葉でも意味や空気感が異なることを視覚的に表現している。 仕事のズレ

私は、以前、店頭に出す商品の個数や、優先順位が高くない作業の開始時間などの指示を「適当」と言う言葉を使うことがありました。

適当
いい加減

同じようなニュアンスに思えるこの3つの言葉ですが、
実際の現場で使うとき、私の中ではかなり意味が違います。

仕事の指示でも「適当に」と言うことはあるけれど、
「雑でいいよ」とは言わないですよね。

そして「いい加減」という言葉も、
本来の意味とは違う使われ方をしていることが多い気がします。

今回は、仕事をしている中で私が気づいた「適当・いい加減・雑」という言葉の違いや、言葉の受け取り方のズレについて書いています。


適当にやってと言って起きたこと

以前、売り場で商品の並べ方を聞かれたことがありました。

「ここ、何個くらい並べますか?」

そのとき私は「適当にお願い」と指示をしたんです。

私の中では、売り場の様子を見て、空きすぎず、詰め込みすぎず、その場のバランスを見て並べてほしい、という意味でした。

つまり「任せる」という意味の適当でした。

でも、出来上がった売り場を見たときに「あ、これは本当に適当にやったな」と思いました。

なぜなら、隙間が全くなく、入りきらなかったであろう数個が正面ではなく、斜めに並べてあったからです。

私がこの時に思った「適当」は、指示を出した時とは違う感覚でした。

あまり考えずにやった」

という、結果に対して満足いっていない意味の「適当」です。

同じ言葉なのに、指示のときと結果では意味が少し違っていました。

今思うと、「適当に」と言っておきながら、結果が適当だと困るなんて、「いちばん適当なの私だ」と言い方が矛盾していたことに気づきました。

それ以来、指示を出すときに「適当」という言葉は使わなくなりました。


言葉の解釈で起きる認識のズレ

同じ言葉でも、人によって前提や経験が違うため、受け取り方にズレが生まれます。

このズレがある状態で指示を出すと、意図とは違う結果になります。

言葉の本来の意味と実際のイメージ

「適当・いい加減・雑」の言葉の意味のギャップを本棚の整頓状態で表したイラスト

この出来事があってから、「適当」「いい加減」「」という言葉が、気になるようになりました。

まず、言葉の本来の意味を見てみると、普段感じている印象とは少し違います。

適当(てきとう)
本来の意味:状況に合っていること。ちょうど良いこと。

いい加減(いいかげん)
本来の意味:ほどよい加減。

たとえば
「いい湯加減」という言葉がありますが、本来は「ちょうどいい」という意味です。

でも普段の会話では

適当
いい加減

どちらも少しマイナスの意味で使われることが多い気がします。

そして「」は、特に仕事では、丁寧ではない、大雑把…。そんな良くない印象の言葉ですが、私は、何においても「雑」はいけない、とは思えない部分もあります。


適当(てきとう)

適当」という言葉は、とても便利ですが、同時に少し曖昧な言葉でもあります。

私が指示として使っていた「適当でいいよ」は、状況を見て自分で判断していいという意味でした。

つまり、信頼して任せるという意味です。

でも人によっては、あまり考えなくていいという意味で受け取ることもあります。実際、私自身「指示」と「結果」でも意味がズレていました。

同じ言葉でも、持っているイメージによって変わってしまうことがあります。


いい加減(いいかげん)

いい加減」という言葉も、本来の意味とは違う使われ方をしているな、と思っています。

本来は、「ちょうどいい加減」という意味ですが、普段の会話では、子供に「いい加減にしなさい!」など、叱るときに使われることが多い言葉です。

仕事の現場でも、やることはやっているけれど、少し抜けている、もう少しこうしてくれたらありがたい…。

そんな「惜しい状態」のときに私は使うことが多いです。


雑(ざつ)

」という言葉は、3つの中では一番わかりやすい言葉です。

例えば売り場で、商品が逆さになっていたり重なっている場合、または、商品が押し込まれている。こういう状態を見ると、私は、丁寧に扱っていないと判断します。

仕事として、あまり良い状態とは思えないときに、「雑だな」と感じます。

ただ、こうして意味を並べてみると、「」だけが他の2つの言葉とは違うように思えるんです。

「適当」と「いい加減」は、自分でコントロールができるのに対して、

「雑」はそもそも「考えていない」印象があるため、コントロールがしにくいのではないかと思います。

仕事や人への態度、物の扱いが「雑」になってしまうのは良いことではありません。でも、全てにおいて「雑」は良くないのか?というと、そうではないと思っています。

たとえば、コミュニケーションに大事な「雑談」。

これは文字通り、何も考えず「雑に交わす会話」だからこそ、息抜きになったり、相手との距離がホッと縮まったりしますよね。もし会話のすべてが会議のように考えて発言していたら、息が詰まってしまいます。

こう考えると、「雑」と「ラク」が似たような意味合いなのかもしれません。

そんな「雑談」が大事だと思った理由はこちらの記事で詳しくお話ししています。


仕事では、指示の出し方も変わる

同じ言葉でも、相手によって受け取り方は違います。

だから私は、

相手によって、任せる仕事を変えたり指示の出し方を変えるようにしています。

「適当」で伝わる人

私は、「適当」という言葉は、基本的に指示では使わなくなりました。

ただ、

一緒に仕事をしてきた中で、

この人は、私と近い判断をする

と思える相手には、

いつものように適当にお願い

と任せることがあります。

この場合の「適当」は、状況を見ながら自分で調整して動ける、という信頼に近い意味です。

「いい加減」になりやすい人

「いい加減」になりやすいと感じる人は、

途中まではできていても、最後の確認が抜けている印象です。

だから私は、

ミスしやすいポイントを、一つ追加して説明するようにしています

例えば、

最後ここだけは、必ず見てね

と、確認する場所を具体的に伝える感じです。

「雑」に見える人

「雑」に見える人は、

丁寧さに欠ける部分はありますが、その分スピードが速いことも多いです。

だから私は、

細かい確認が必要な仕事より、スピード重視で、ある程度勢いが必要な仕事を任せることがあります。

もちろん、速ければ雑で良いわけではありません。

ただ、丁寧だったら何時間がかかっても良いとも思いません。

だから、

「雑だからダメ」

ではなく、

その特徴を、どこで活かせるかを見るようにしています。

まとめ

以前は、指示を出す時に「適当」という言葉を使うことがありました。

でも、同じ言葉でも、人によって受け取り方が違う。

そのことに気づいてからは、

相手によって任せる仕事や、指示の出し方を変えるようになりました。

ただそれは、

このタイプはダメ

という意味ではありません。

丁寧に確認しながら進める分、時間がかかる人もいれば、

多少荒っぽくても、スピード感を持って動ける人もいる。

細かいところまで気づける人もいれば、全体を見ながらバランスを取れる人もいます。

だから私は、全員が同じタイプである必要はないと思っています。

むしろ、いろいろなタイプの人がいるからこそ、仕事は回るし足りない部分を補い合えることもある。

大事なのは、

適当
いい加減

という言葉だけで判断するのではなく、

その人が、どういう特徴を持っているのかを見ながら、

どこなら活かせるのかを考えることなのかもしれません。

palette
palette

次の記事では、
同じものを見ているのに違って見える「目の錯覚」の話を書いてみようと思います。