仕事中、指示に対して「わかりました」「承知しました」と返事が戻ってくることはほとんどです。
ですが私は、その返事の言葉だけで「ちゃんと伝わった」と判断しないようにしています。
「わかりました」と返事をしていても、大まかな内容だけを理解していることもあれば、過去の経験から「たぶんこういうことだろう」と補っていることもあります。
その場では本当に理解したつもりでも、実際にやってみて初めて「あれ?」と分からないことに気づく場合もあります。
また、本当は少し不安があっても、一度説明されたことをもう一度聞きにくかったり、忙しそうな相手に質問しづらかったりして、「わかりました」と返事をしてしまうこともあります。
「わかりました」という返事だけでは、どこまで理解できているのかは判断できません。
大切なのは、本人の言葉で説明できるか、実際に一人で動けるかまで確認することだと思っています。
ただ、これはスタッフだけの問題ではありません。
私自身も店長になる前は、上司からの指示に「わかりました」と返事をしていた側です。その場では本当にわかったつもりでも、いざ自分で動こうとしたときに「あれ、どうやるんだっけ」と手が止まった経験も何度もあります。
今回は、実際にコンビニの仕事であった出来事を例に、なぜ「わかりました」と返事をしていても認識にズレが起きるのか、そして現在、私が本当に理解できているかを確認するときに意識していることを紹介します。
この記事でわかること
- わかってないのに「わかりました」と返事してしまう理由
- 「わかりました」の返事だけでは判断できない理由
- わかったつもりでも、実際にやると分からない理由
- 本当に理解できているか確認する方法
- 私が「わからなかったら」ではなく「迷ったら聞いてね」と伝える理由
わかってないのに「わかりました」と返事してしまうのはなぜ?
「わかってないのに返事する人」と聞くと、話をきちんと聞いていないように感じるかもしれません。
でも、実際の仕事では必ずしもそうとは限りません。
その場では本当に「わかった」と思っていても、理解した内容が大まかだったり、過去の経験をもとに判断していたりすることがあります。
一方で、「全部は分かっていない」と気づいていても、聞き返しにくくて「わかりました」と返事をしてしまうこともあります。
以前、職場で「該当するお菓子を2個買うと、もう1個プレゼント」というキャンペーンがありました。
会計では2個分の代金をいただき、プレゼント分の1個はあとで処理する必要があるため、少しややこしい内容です。
認識がズレるスタッフが出ると思ったので、私はできるだけ具体的にメモへ書いて共有しました。
- 会計は2個分
- +1個無料で差し上げるので合計3個
- あとで処理をするので控えが必要
ところが、同じ説明を聞いても、スタッフの反応はそれぞれ違いました。
そこで私は、「わかりました」という一言だけではなく、そのあと本人の言葉で説明できるか、実際にどう動くかまで確認することが大切だと改めて感じました。
説明の途中で「わかりました」と返事する場合
まだ説明が終わっていないのに、「わかりました!」と返事が返ってくることがあります。
この場合、内容をすべて理解したというより、説明を聞いていることに対して、まず返事をしていることもあります。
本人としては悪気があるわけではなく、返事をしてから、あとで内容を整理しようとしている場合もあります。
この状態では、キャンペーンの大まかな内容はもちろん、具体的なレジ操作や控えを残す方法までは把握しきれていないことがあります。
私なら「わかりました」という返事だけで終わらせません。
「キャンペーンはいつから?」
「内容はどうだった?」
と逆に質問して、本人の言葉で説明してもらいます。
説明した側からすると少し手間に感じるかもしれませんが、ここで一度確認しておけば、実際にレジに立ったときの「どうするんだっけ?」を減らせます。
一通り聞いて「わかりました」と返事する場合
説明を一通り聞いたあと、「わかりました」と返事が返ってくる場合もあります。
この場合は、「プレゼントを渡す」という大まかな内容は理解していても、レジでの細かい操作や控えの残し方など、実際の手順までは把握できていないことがあります。
そこで私は、声のトーンや表情だけで判断するのではなく、具体的な場面を想定して聞くようにしています。
「もし周りに誰もいないときに、この処理が来たら、まず何から始める?」
実際に一人でレジ操作をする場面をイメージしてもらうことで、どこまで理解できていて、どこで手順が止まりそうなのかが見えやすくなります。
過去の経験で補完する「わかったつもり」の返事
もうひとつ注意したいのが、納得した様子で「わかりました」と返事をしているものの、頭の中では過去に経験した別のキャンペーンの手順を当てはめているケースです。
本人としては「前にも似たようなキャンペーンをやったから大丈夫」と思っているので、その場では疑問に感じません。
ところが、今回のルールが以前とは少し違っていると、実際に作業が始まってから認識のズレが表面化します。
こういう場合は、
「今回のやり方は、前にやった○○のときと少し違うんだけど、どこが違うか分かる?」
と聞きます。
過去の経験との違いを自分の言葉で説明してもらうことで、頭の中にある思い込みをその場で確認できます。
分からないと気づいていても聞き返せないことがある
ここまでとは少し違い、本人も「全部は分かっていない」と感じながら、「わかりました」と返事をすることもあります。
一度教えてもらったことをもう一度聞きにくかったり、相手が忙しそうで声をかけにくかったり、「こんなことも分からないのか」と思われたくなくて聞き返しにくかったりする場合です。
だから、教える側が「分からないなら聞けばいい」と考えるだけでは、質問できないこともあると思っています。
この「聞きにくさ」については、後半の「迷ったら聞いてね」にもつながります。
「わかりました」のあとに手が止まるのはなぜ?
ここまでの話は、説明をしたその場での「わかりました」についてでした。
でも、説明を聞いたときにはきちんと理解していたはずなのに、実際にキャンペーンが始まったときに手が止まってしまうこともあります。
これも私は、単純に「わかっていなかった」とは考えないようにしています。
説明を聞いたときには本当に理解していたのに、時間が経って忘れてしまった場合もありますし、言葉としては理解できていても、実際の動作に変換できていない場合もあるからです。
時間が経って忘れてしまう「その場での理解」
説明を聞いた直後は覚えていても、キャンペーンが始まるまでに時間が空けば、細かい部分を忘れてしまうことがあります。
これは、その場で「わかりました」と返事をしたことが嘘だったわけではありません。
だから私は、キャンペーンの流れを全員が確認できる場所に貼り出すだけでなく、スタッフ自身にも「自分だったら実際にどう動くか」を考えながらメモしてもらうようにしています。
説明された言葉をそのまま書き写すのではなく、例えば、
「まずレジのここを確認する → 次にこれを準備する」
というように、自分がどう動くのかとして残しておくと、実際の場面でも思い出しやすくなります。
言葉では理解していても、実際の行動にできない
もうひとつは、説明を知識として理解しただけで、自分が実際に動く手順まで落とし込めていないケースです。
「会計は2個分」「1個は無料で渡す」「あとで処理する」という言葉は理解していても、いざレジ操作をすると、次に何をすればいいのか分からなくなることがあります。
これを防ぐために、私は本番前に一連の作業を実際にやってもらうことがあります。
頭の中では分かったつもりでも、実際に動いてみると、手順が前後するところや迷うところが出てくるからです。
「わかったつもり」を確認するなら、実際にやってみる。
本番で初めて迷うよりも、事前に一度つまずいておいたほうが、その場で修正できます。

「わかったつもり」を防ぐために、私が意識していること
こうした経験をしてきたことで、私は「わかりました」という返事だけで終わらせず、そのあと実際に一人で動けるところまで理解できているかを確認するようになりました。
特に、初めて経験する仕事や手順が複雑な仕事では、説明しただけで終わらせないようにしています。
私が意識しているのは、主に次の3つです。
- 説明のあとに確認すると先に伝えておく
- 「分かった?」ではなく具体的に聞く
- 必要なら本番前に一度やってもらう
説明のあとに、あえて確認すると伝えておく
スタッフに仕事を説明するとき、「説明が終わったら、あとでやり方を確認するからね」と先に伝えておくことがあります。
これだけでも、スタッフ側の聞き方が少し変わります。
「なんとなく聞いておけばいい」ではなく、「あとで確認するなら、自分がどう動くのかまで考えておこう」と意識して聞いてもらいやすくなるからです。
「分かった?」ではなく、具体的に聞いてみる
「分かった?」と聞けば、多くの場合は「はい、分かりました」と返ってきます。
それでは、最初の「わかりました」と同じで、本当に理解できているのかまでは分かりません。
そこで私は、実際の仕事を想像できるような聞き方に変えています。
| そのまま聞くなら | 具体的に確認するなら |
|---|---|
| 「分かった?」 | 「一人だったら、まず何をする?」 |
| 「内容は大丈夫?」 | 「今回と前回は、どこが違う?」 |
| 「何か質問ある?」 | 「今の説明を、自分がやる順番で言うとどうなる?」 |
相手に自分の言葉で説明してもらえば、どこまで理解できているのかが見えますし、こちらが想定していなかった受け取り方をしていた場合も、その場で修正できます。
これは相手を試すためではありません。
実際に一人で仕事をするときに、どこで迷いそうなのかを先に確認するためです。
必要なら本番前に一度やってもらう
質問に答えられていても、実際に手を動かすと迷うことがあります。
そのため、手順が複雑な仕事では、本番前に一度やってもらうこともあります。
言葉で説明できることと、実際に一人で動けることは同じではありません。
一度やってみれば、本人も「ここは分かっていなかった」と気づけますし、こちらも本番前に修正できます。
「わからなかったら聞いてね」ではなく「迷ったら聞いてね」
そして、私がスタッフに仕事をお願いするときに、今特に意識していることがあります。
それは、「わからなかったら聞いてね」ではなく「迷ったら聞いてね」と伝えることです。
私自身、店長になる前は仕事を教えてもらう側でした。
その頃は「わからなかったら聞いてね」と言われてきました。
でも、新人の頃には、そもそも「何がわからないのかわからない」ということがあります。
説明を聞いているときは「わかりました」と思っている。
でも、実際に仕事を始めたら、
「あれ、ここってどうするんだっけ?」
となることがあります。
そんなとき、自分でもどこが分からないのか整理できていなければ、「ここが分かりません」と聞くこともできません。
また、何となく違う気がしていても、何が違うのかうまく説明できないこともあります。
だから今の私は、スタッフに「わからなかったら聞いてね」とだけ伝えるのではなく、
「これで合ってるかな?と思ったら聞いてね」
と伝えるようにしています。
「わからない」と自覚していなくても、仕事をしていれば迷うことはあります。
「これで合っていると思うけど、念のため確認したい」ということもあります。
そんなときに「迷ったら聞いてね」と言っておけば、質問するハードルを少し下げられると思っています。
この2つは役割が違います。
「分かった?」ではなく具体的に聞く
→ 説明した直後に、どこまで理解できているかを確認するため。
「迷ったら聞いてね」と伝える
→ 実際に仕事を始めたあと、「あれ?」と思ったときに聞き直しやすくするため。
私自身も「わかりました」と返事していた
今はスタッフに仕事を教える側になりましたが、最初から何でも分かっていたわけではありません。
私も店長になる前は、上司から説明を受けて「わかりました」と返事をしていました。
その返事が「わかったふり」だったとは思っていません。
その場では、本当に分かったと思っていたからです。
ただ、いざ自分でやろうとすると、説明を聞いているだけでは気づかなかった疑問が出てくることがありました。
だから今、スタッフから「ここってどうするんですか?」と聞かれたときも、「さっき説明したよね」と考えるのではなく、実際にやってみたからこそ、分からないところが見えたのかもしれないと考えるようにしています。
「わかったふりをしないで」ではなく、「迷ったら聞いてね」。
教える側になった今、私はこの言葉を大切にしています。
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まとめ|「わかりました」だけで理解したとは限らない
仕事をお願いしたとき、「わかりました」と返事があれば、つい「ちゃんと伝わった」と思ってしまいます。
でも、同じ「わかりました」でも、その状態は一つではありません。
- 説明を聞きながら、まず返事をしている
- 大まかな内容までは理解している
- 過去の経験で足りない部分を補っている
- 本当は少し不安でも聞き返しにくい
- その場では理解していても、時間が経って忘れる
- 言葉では理解していても、実際の行動にできない
だから私は、「わかりました」という返事だけで判断するのではなく、本人の言葉で説明してもらったり、一人だったらどう動くかを聞いたり、必要なら実際に一度やってもらったりするようにしています。
私自身も、店長になる前は仕事を教えてもらう側でした。
その場では本当に「わかった」と思っていても、実際にやってみて初めて分からないことに気づいた経験があります。
だからこそ今は、
「わからなかったら聞いてね」ではなく、
「迷ったら聞いてね」。
「これで合っているかな?」と思った時点で確認してもらえれば、その場で一緒にズレを直すことができます。
「わかりました」という返事だけで終わらせず、実際に動けるところまで確認すること。そして、やってみて迷ったときに聞き直せるようにしておくこと。
教える側になった今だからこそ、教えてもらう側だった頃の自分も思い出しながら、そんな伝え方を続けていきたいと思っています。



