仕事で部下や後輩を注意するとき、「どこまで言えばいいんだろう」と迷うことがあります。
注意しすぎれば相手との関係が悪くなるかもしれないし、何も言わなければ同じことを繰り返してしまうかもしれません。特に、相手が一生懸命仕事をしているのが分かっていると、どこまで伝えるべきなのか悩むこともあります。
私自身、スタッフに教える立場になってから、注意することについて何度も考えてきました。できれば怒りたくはありませんし、細かいことまで全部指摘したいわけでもありません。
ただ、店長になる前の自分を振り返ってみても、誰かに注意されたことで仕事のやり方を覚えたり、「これはやってはいけないことなんだ」と気づいた経験があります。
だから私は、部下を注意するときに「相手が嫌な気持ちになるかどうか」だけではなく、その注意が、その人がこれから仕事をするうえで必要なことなのかを基準に考えるようになりました。
この記事でわかること
- 部下を注意するとき、どこまで言うべきか
- 私が仕事で注意するときに大切にしている基準
- 注意するべきことと、あえて言わないことの違い
- 注意したあとも、相手との信頼関係を壊さないために意識していること
部下を注意するときは「今後も必要なことか」を基準にする
私が部下やスタッフを注意するときに一番大切にしているのは、「その人がこれから仕事をするうえで必要なことなのか」という基準です。
仕事では、細かいミスやちょっとしたやり方の違いが毎日のように起こります。そのすべてを注意していたら、教える側も疲れてしまいますし、注意される側も「何をしても怒られる」と感じてしまうかもしれません。
だから私は、単純に「自分のやり方と違うから」という理由だけでは注意しないようにしています。
たとえば、自分ならこうするけれど、相手のやり方でも問題なく仕事ができているのであれば、必ずしも口を出す必要はありません。
一方で、今は大きな問題になっていなくても、そのまま続けていたら本人があとで困ることや、周りのスタッフ、お客様に影響することについては、きちんと伝えるようにしています。
「自分のやり方と違う」だけなら、すぐに注意しない
教える側になると、自分が覚えてきたやり方を基準にしてしまいがちです。
でも、仕事の目的が達成できていて、安全面やルールにも問題がないのであれば、やり方が少し違うだけで注意する必要はないと思っています。
「私はこうやってきたから、あなたもこうして」という注意になってしまうと、仕事を教えるというより、自分のやり方を押しつけることになってしまうからです。
本人や周りがあとで困ることは、今のうちに伝える
反対に、「今は問題が起きていないからいい」と放置しないようにもしています。
その場では何とかなっていても、別のスタッフが同じ状況になったときに困ったり、お客様への対応に影響したり、本人が別の仕事を任されたときに困るようなことなら、早めに伝えておいたほうがいいと考えています。
注意することは、相手を責めるためだけではありません。
これから先に困らないように、今のうちに伝えておくことも、教える側の責任だと思っています。
実際にスタッフを注意したとき、私が考えていたこと
以前、スタッフの仕事ぶりについて注意したことがあります。
そのとき、私は「注意するべきか、もう少し様子を見るべきか」と少し考えました。相手が一生懸命仕事をしていることは分かっていましたし、わざとやっているわけでもありません。
それでも、私は伝えることにしました。
理由は、今回だけの問題として終わる話ではなく、今後も仕事を続けていくなら知っておいたほうがいいことだと考えたからです。
注意するときは、相手の人格を否定するような言い方にならないようにして、「何が問題なのか」「なぜ伝えるのか」「これからどうしてほしいのか」を分けて話すようにしています。
「あなたはダメ」ではなく、「この仕事のやり方だと、こういうところで困るから、次からこうしてほしい」という伝え方です。
注意する目的は、相手を責めることではなく、
これから困らないように伝えること。
もちろん、注意された側からすれば、嫌な気持ちになることもあると思います。それでも、必要なことを何も言わないまま「優しく接する」ことが、本当にその人のためなのかと考えると、私はそうは思いません。

返事よりも、その後の行動が大切
仕事をお願いしたときに「わかりました!」と返事があれば、きちんと伝わったように感じます。
でも私は、返事ができたことと、仕事を理解して動けることは別だと考えています。
「わかりました」と返事をしたのであれば、そのあとに実際の行動が続いているかを見ることも大切です。
「わかりました」の後に求めていること
たとえば「今日は○○をお願いね」と伝えて「わかりました」と返事をしたのであれば、時間内に言われたことを終えられるように動く。
もし、どうしても時間内に終わらなさそうなら、そのままにするのではなく、指示を仰いだり、次のスタッフに伝えたりする。
私が見ているのは、返事のきれいさだけではありません。
「わかりました」の後に、どう動くか。
言葉だけではなく、その後の行動まで考えることを大切にしています。
急に休むときも、周りへの影響を考える
休むこと自体は、人間ですから仕方のないこともあります。体調不良や急な用事まで、「絶対に休まないで」と言うつもりはありません。
私自身、学生スタッフなら試験前に休ませますし、学校の都合で少し遅れることも、毎回でなければ「気をつけておいで」と考えています。家庭の事情や体調についても、できるだけ柔軟に対応したいと思っています。
ただ、自分が休むことで、現場や一緒に働くスタッフにどんな影響があるのかを考えることは大切です。
「休んではいけない」という話ではなく、自分が抜けたあとに誰が困るのかを少し想像するということです。
そして、理由が分からない急な休みが何度も続けば、それまで少しずつ積み上げてきた信用にも影響してしまいます。
信用を積み上げるのには時間がかかる。
でも、崩れるのは一瞬です。
だからこそ、私はスタッフに自分自身の信用を崩すような行動はしてほしくないと思っています。
部下への注意は「将来困らないため」に伝える
以前、仕事を教えてくれている先輩に対して、「はいはいはい」と軽く感じる返事をする人がいました。
本人には、まったく悪気がなかったと思います。おそらく、その人にとっては口癖のようなものだったのでしょう。
でも私は、その返事を聞いたときに少し気になりました。
今の職場では大きな問題にならなかったとしても、社会に出たり、別の職場へ行ったりしたときに、その返事の仕方で本人が損をしてしまう可能性があると思ったからです。
そこで本人にも、「その返事は、外に出たときには誤解されることがあるかもしれない」と伝えました。
叱りたいわけではありませんでした。正直、我が子くらいの年齢の人や、私より年上の人に対して、どこまで言っていいのか迷うこともあります。
それでも、今気づけることなら、今のうちに伝えておいたほうがいいと思いました。
その人がこの先、別の場所で嫌な思いをする前に伝える。
それも、教える側の役割のひとつだと思っています。
「今、注意すると嫌われるかもしれない」
そう思うことはあります。それでも、何も言わずに見過ごすことが本当の優しさとは限りません。
「仕方ない」と「仕事として必要」は別
仕事をしていると、本人の努力だけではどうにもならない事情もあります。
体質や家庭の事情、体調など、本人が好きでそうなっているわけではないことについて、「こうだからダメ」と決めつけるつもりはありません。
一方で、接客業で食品を扱う以上、仕事として守らなければならない基準もあります。
たとえば、食品を扱う仕事なら髪が長ければ結ぶ。手荒れがひどいときには手袋を使うなど、本人も安心して働けて、お客様にも不安を与えないための対策があります。
ここで大切なのは、「そのままではダメ」と否定することではなく、「どうすれば仕事として必要な基準を満たせるか」を一緒に考えることです。
私が意識している線引き
- 事情にはできるだけ配慮する
- 理不尽なことからはスタッフを守る
- でも、仕事として必要な基準は伝える
- できない理由だけで終わらせず、できる方法を一緒に考える
「事情があるんだから仕方ない」と考えて何も言わないほうが、教える側としてはラクなこともあります。
でも、そのまま何度も同じことで指摘されて、本人が外で傷つくことになるなら、今のうちに話し合って対策を考えたほうが、結果的にその人を守ることになると思っています。
だから私は、「仕方ない」と「仕事として必要なこと」は分けて考えるようにしています。
注意することは、相手を否定することではありません。相手の事情を理解しながら、それでも仕事として伝えるべきことを伝える。その線引きを考えることが、教える側の責任なのだと思っています。
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まとめ|部下を注意するときは「これから困らないか」で考える
部下やスタッフを注意するとき、「どこまで言えばいいんだろう」と迷うことがあります。
私も、すべてのことを細かく注意しているわけではありません。自分のやり方と違うだけなら、あえて口を出さないこともあります。
一方で、そのまま続けていたら本人があとで困ることや、周りのスタッフ、お客様に影響することについては、必要なこととして伝えるようにしています。
店長になる前の自分も、誰かに教えてもらい、注意されながら仕事を覚えてきました。だから今、スタッフに伝える側になったからこそ、「今、嫌な思いをさせないこと」だけではなく、「この先、その人が困らないか」も考えるようになりました。
注意するか迷ったら、
「その人がこれから仕事をするうえで必要なことか」を考える。
注意することは、相手を責めることではありません。事情には配慮しながら、仕事として必要なことはきちんと伝える。そして、ただ直してもらうだけではなく、これから困らないように一緒に考える。
それが、私がスタッフを教える立場になってから大切にしている、部下を注意するときの基準です。




