毎週やることが決まっている仕事があります。
売場のメンテナンスや補充、清掃など、気づいた時に続けていかなければならない仕事です。
初めてお願いするスタッフには、その場だけで終わらず、次からも続けてもらえるように説明しているつもりです。
- その仕事をやるタイミングと理由
- その仕事の重要性
- その仕事の期限
などです。
それでも実際には、次の週になると止まっていることも少なくありません。
正直、「立場は関係なくお金をもらっている以上、仕事は仕事。言われなくても動いて欲しい」と思ってしまうこともあります。
ただ、不思議なのは全員がそうではないことです。
同じ職場で、同じ説明を聞いて、同じ仕事をしているのに、自然と動く人もいれば、止まってしまう人もいる。
その違いは何なんだろう。
責めたいわけではありません。
むしろ、なんで同じように教えているのに、こんなに差が出るんだろうと思うんです。
今回は、「いつもの仕事」が伝わらない理由について考えてみます。
毎週のルーティンが止まる
もともとは理由も説明していました。
なぜ必要なのか。どのタイミングでやるのか。何のためにやるのか。
前提を話して、仕組みも作ったはずでした。
例えば値札の確認。
値札が出ていない商品がないか。商品がなくなったまま放置されていないか。売場が崩れていないか。
お客様から見れば当たり前の状態ですが、その当たり前を維持するために必要な仕事です。
だから毎週決まったタイミングで確認するようにしていました。
でも翌週になると止まる。
さらにその次の週も止まる。
店長側からすると、「説明したよね?」という気持ちになります。
でも、きちんと聞いてくれているんです。
返事もしているし、説明も理解しているはず。
それなのに動く人と動かない人がいる。
そこがずっと不思議でした。
昔から人を見る癖があった
考えてみると、私は昔から人を見る癖がありました。
特にお客様です。
- 毎日同じタバコを買う人。
- 毎日同じコーヒーを買う人。
- 毎日同じ新聞を買う人。
常連のお客様は自然と覚えていました。
なぜなら、朝のお客様は急いでいる人がほとんどだからです。
レジに来てから商品を探していては時間がかかります。
だから顔を見たら先に準備しておけば、会計もスムーズになります。
無理に覚えようとしていたわけではありませんが、毎日見ているうちに自然と覚えていたんです。

見えているものが違うのかもしれない
ある時、いつもとは違うパートさんが朝勤務に入ってくれたことがありました。
ちょうど常連のお客様が来店されたので、
「そのお客様、タバコはこれで、袋に入れて支払いは◯◯だよ」
と伝えたんです。
すると、その人が少し不思議そうな顔をして、
「覚えてるの?」
と聞いてきました。
なぜか、
「そこまで覚える必要ある?」
というような反応に見えました。
でも私からすると、覚えようとして覚えたわけではありませんでした。
覚えていることによって、お客様に嫌な顔をされたことはありませんでしたし、
逆に、いつものコーヒーと違うなと思って、「今日はこのコーヒーなんですねー」と何気なく声をかけたら、
間違えていたようで、結局いつものコーヒーに取り替えたこともあります。
だから、私にとっては何気なく自然にやっていたことでした。
その時に、
「ああ、人によって見ている場所が違うんだな」
と思いました。
私には当たり前だったことが、その人には当たり前ではなかった。
同じ店で働いていても、見ている景色は意外と違うのかもしれません。
黙ってやってみるという実験
私は、出勤してからお金の計算から商品の発注や、売り上げの管理から報告など、
周りから見れば、事務所に座っていて楽に見えるかもしれませんが、意外と暇ではありません。
本当は他にもたくさんやることがあります。
もちろん、私だけが大変なのではなく、スタッフに協力してもらって成り立っている仕事です。
だからこそ、毎回お願いしたい作業があるのですが、それでも時々、お願いしてある仕事が止まっていると、何も言わずに自分でやってみることがあります。
お願いすればいいことかもしれません。
でも私は、どこかでその人に「これは自分の仕事」という気持ちを持って欲しかったのだと思います。
気付いてくれるかな。
どう思うかな。
声をかけてくるかな。
言い方は良くないかもしれませんが、その人を知るための実験です。
私だったらと考えた時に、店長が自分の担当みたいな仕事を始めたら気になったと思います。
「あれ、自分がやるべきだったかな」
と思います。
でも実際は、
「あ、やってくれてるんだ」
で終わることも少なくありませんでした。
怒っているわけではありません。
ただ純粋にその人は、そういう感覚なのだなと思いました。
「いつものやつ」が伝わらない
そこで今度は、
「今日ちょっと時間ありそうだから、いつものように値札の確認お願いします」
と声をかけてみます。
でも後で確認すると、私が想像していた状態とは違うことがあります。
確かに値札は終わってはいる。
でも何か違う。
私からすると、売場全体を見て、値札の出てないものを出して、棚に付ける、逆に商品がもう終売している値札は外す。
そういうことまで含めて「いつものやつ」と考えています。
でも相手は、頼まれた作業そのものを終わらせることが目的になっていることもあります。
日によっては「印刷したところまで」で終わっていることもある。
どちらも本人の中では終わっているんです。
だからややこしい。
同じ言葉を聞いているはずなのに、見ている範囲が違う。
ここにもズレがあるのかもしれません。

仕事が習慣になる人、ならない人
最近思うのは、能力の差というより、見ているものの違いなのかもしれないということです。
毎週のルーティンを、
「言われたからやる仕事」
として見ている人もいます。
一方で、
「売場を維持するために必要な自分に任された仕事」
として見ている人もいます。
前者は指示がないと止まってしまうように見えます。
また、
後者は自分で気付いて動いているように見えます。
もちろん、どちらが正しいという話ではありません。
ただ、同じ説明を聞いていても差が出る理由は、この辺りにあるのかもしれないと思うようになりました。
まとめ
以前は、「気付いた人がやればいい」と思っていました。
でも今は、気付くこと自体が当たり前ではないのだと感じています。
毎週のルーティンひとつ取っても、自然と習慣になる人もいれば、そうならない人もいる。
その違いは、やる気や能力だけではなく、普段どこを見ているかの違いなのかもしれません。
店長になってからは、スタッフも観察するようになりました。
正しいか間違っているかではなく、この人は何を見ているのか。
何を当たり前だと思っているのか。
そんなことを考えながら見ていると、少しずつその人らしさが見えてきます。
そうやって人を観察することも、店長としての仕事の一つなのかもしれません。
