報告しない部下の心理|なぜ報告しないのか、上司ができること

白と青グレーを基調にした静かな仕事系アイキャッチ。中央に「どこまで報告する?」、下に「ホウレンソウが難しい理由」という文字が配置されている。左にはスマホを見ながら迷っている女性のシルエットがあり、「これって言うべき…?」という吹き出しが浮かんでいる。右には腕を組んで困惑している人物のシルエットがあり、「なんで報告なかったの?」という吹き出しがある。中央には通知マークと途切れた線が描かれ、報告の基準が人によってズレる空気感を表現している。 コンビニの仕事

「報告してほしいのに、なかなか報告してくれない」

部下やスタッフと一緒に仕事をしていると、そんな場面に出会うことがあります。

こちらからすると、「え、それ聞いてないんだけど……」と思いますし、あとから報告を受けて「それならもっと早く教えてほしかった」と思うこともあります。

でも反対に、私が休みの日に連絡を受けて、「それは明日でもよくない?」と思うこともあります。

この両方を経験していると、報告がない理由は、単純に「報告する気がない」からとは限らないと感じます。

「これって報告したほうがいいのかな」「今、話しかけても大丈夫かな」「こんなことを言ったら怒られるかもしれない」と迷っているうちに、タイミングを逃してしまうこともあります。

また、上司にとっては「当然すぐ言ってほしいこと」でも、スタッフ側では「このくらいなら自分で対応できる」「次に会ったときでいい」と考えていることもあります。

報告しやすくするには、「話しかけても大丈夫」と思える関係と、「何を・いつ報告するか」という基準の両方が必要だと私は考えています。

だからこそ、「報告しない部下」に対して、ただ「ちゃんと報告して」と言うだけでは解決しないこともあります。

今回は、なぜ報告が止まってしまうのか、そして報告しやすくするために上司側でできることを、実際にスタッフと働いてきた経験から紹介します。

この記事でわかること

  • 報告しない部下が迷っていること
  • 「どこまで報告するか」で認識がズレる理由
  • 上司が報告の基準を伝えるときの考え方
  • 「迷ったら報告してね」と伝える理由
  • 私がスタッフとの雑談を大切にしている理由

報告しない部下の心理|なぜ報告が止まるのか

私が現場で感じているのは、報告しない部下が必ずしも「報告することを軽く考えている」とは限らないということです。

報告するまでに、本人の中でいろいろ考えている場合があります。

  • 今、話しかけて大丈夫かな
  • こんなことまで報告する必要があるのかな
  • 忙しそうだから、あとにしよう
  • 怒られるかもしれない
  • もう少し自分で何とかしてから報告しよう
  • 次に会ったときでいいと思った
  • あとで話そうと思っているうちにタイミングを逃した

もちろん、すべての人が同じ理由で報告しないわけではありません。

ただ、「なぜ言わなかったの?」と考えるとき、こうした迷いがある可能性も見ておきたいと思っています。

「今、話しかけて大丈夫かな」と思わせていないか

私自身、仕事に集中して黙々と作業していることがあります。

自分としては、ただ集中しているだけです。機嫌が悪いわけでも、誰とも話したくないわけでもありません。

ところが、スタッフからすると、そうは見えていなかったことがありました。

以前、ふとスタッフと目が合ったとき、何か言いたそうな表情をしていたので「どうした?」と聞いたことがあります。

すると返ってきたのは、

「後で大丈夫です」

という言葉でした。

そのとき私は、「話したいことがあったけれど、今は話しかけないほうがいいと思ったんだな」と気づきました。

自分では何も意識していなくても、相手からすると「今は話しかけないほうがいい人」に見えていることがあります。

「何でも相談して」と言うだけでは、相談しやすいとは限りません。

話しかけても大丈夫だと思える空気がなければ、報告する前にためらってしまうこともあります。

「こんなことまで報告する?」と基準に迷っていることもある

もう一つ大きいと思うのが、「これは報告するほどのことなのか」が本人には分からない場合です。

上司からすると「それはすぐ教えてほしかった」と思うことでも、スタッフ側では、

  • 自分で対応できると思った
  • 次に会ったときでいいと思った
  • わざわざ連絡するほどではないと思った

ということがあります。

逆に、スタッフは「今すぐ言わなきゃ」と思って連絡したのに、受ける側からすると「これは次の出勤でよかったのに」と感じることもあります。

つまり、「報告する・しない」だけではなく、「何を・いつ・どこまで報告するか」の基準が、お互いに違っていることがあります。

ここが共有されていなければ、スタッフは本人なりに判断するしかありません。

その判断が上司の考えている基準と違ったときに、「どうして報告しなかったの?」というズレになります。

悪い報告ほど、後回しになりやすい

特に難しいのが、ミスやトラブルなどの悪い報告です。

忙しい時間帯に「ちょっといいですか?」と声をかけられると、正直、私も困ることがあります。

でも、そこで何度も「今忙しいから後にして」と言われれば、スタッフ側は次から、

「もう少し自分で何とかしてから話そう」

と考えるかもしれません。

本人としては、問題を放置しているつもりではなく、「自分で解決してから報告したほうがいい」と思っている可能性もあります。

でも上司側は、「何とかする前に教えてほしかった」と考えている。

これも、報告に対する基準のズレです。

問題が小さいうちに共有してほしいのであれば、「自分で解決してからではなく、迷った時点で一度教えてほしい」と先に伝えておくことが必要だと思っています。

報告しない部下に「報告して」と言うだけでは変わらない

「何かあったら報告してね」と伝えること自体は大切です。

でも、それだけでは本人が「何か」に何を含めればいいのか分かりません。

報告しやすくするには、話しやすい関係を作るだけでなく、何を・どのタイミングで報告してほしいのかも具体的にしておく必要があります。

何を・いつ報告するかの基準を伝える

私自身、「え、それは聞いてない」と思うことがある一方で、休みの日に連絡を受けて「それは明日でよかったのに」と思うことがあります。

だからこそ、全部を同じ「報告」として扱うのではなく、報告のタイミングをある程度共有しておくことも大切だと思っています。

たとえば考え方としては、次のように分けられます。

報告のタイミング 考え方の例
その場で共有 お客様対応や安全など、その場で判断が必要なこと
当日中 その日の勤務中に共有しておいたほうがいいこと
次回でもよい 急ぎではなく、次の出勤時に確認できればよい申し送り

※何をどのタイミングで報告するかは、仕事内容や職場のルールによって異なります。ここでは考え方の例として紹介しています。

上司側が「これはすぐ」「これは次で大丈夫」と伝えておけば、スタッフも判断しやすくなります。

「報告するか迷ったら言ってね」と伝える

「何かあったら報告してね」と言っても、本人が「これは報告することではない」と判断すれば、報告は上がってきません。

そこで私は、

「これって言ったほうがいいかな?と迷ったら言ってね」

くらいまで伝えておくほうが分かりやすいと思っています。

報告が必要かどうかを一人で決めてもらうのではなく、迷った時点で一度共有してもらう。

そのうえで、

  • これは次からすぐ教えてほしい
  • これは当日中で大丈夫
  • これは次に会ったときでも大丈夫

と伝えていけば、少しずつお互いの報告基準も揃っていきます。

忙しいときでも「報告の入口」は閉じない

もちろん、いつでも長い話を聞けるわけではありません。

レジが混んでいたり、作業が重なっていたりすれば、その場で全部聞くのが難しいこともあります。

そんなときでも、

「今すぐ全部は聞けないけど、まず結論だけ教えて」

「あとで聞くから、先に一言だけ入れておいて」

のように、一度受け取るようにしています。

特に悪い報告は、最初から強く責められると思えば、さらに言いにくくなります。

まず内容を受け取ってから、何が起きたのか、どう対応するのかを考える。その順番も大切だと思っています。

雑談は「話しかけても大丈夫」を作る準備運動

報告の基準を決めても、普段から話しかけにくい相手には、やはり声をかけづらいものです。

そこで私が意識しているもう一つが、仕事に直接関係のないような雑談です。

いきなり本題に入るより、普段から少しでも話をしているほうが、「そういえば……」と話し始めるハードルは下がります。

私はこれを、運動前の「準備運動」のようなものだと考えています。

朝からいきなり「あの件どうなった?」と聞くだけではなく、ちょっとした雑談をしてから仕事の話に入る。

どうでもいいような会話でも、「この人には話しかけても大丈夫」と感じてもらうきっかけになることがあります。

ただし、雑談をすれば報告するようになる、という単純な話ではありません。

報告基準が分からないなら基準を伝える必要がありますし、何を言えばいいのか迷っているなら、そこを具体的にする必要があります。

雑談は、そのための会話を始めやすくする一つの方法だと思っています。

報告しやすい職場にするために、私が実際にしていること

私がスタッフとの関係で意識しているのは、仕事の話だけをする関係にしないことです。

もちろん、仕事中なので仕事をすることが一番大切です。

でも、必要な連絡だけの関係になると、「用事がないと話しかけてはいけない」という空気になってしまうことがあります。

そこで私は、仕事の合間にちょっとした雑談をしたり、スタッフと一緒にくだらないことで笑ったりする時間も大切にしています。

レジの速さを競ったり、絵心をチェックしたり

以前、スタッフ同士で、お客様対応に支障がない範囲でレジの速さを競ってみたり、絵を描いてもらって、みんなで笑いながら見たりすることがありました。

仕事をするために絶対に必要なことではありません。

でも、こういう何気ないやり取りがあると、普段あまり話さないスタッフとも少しずつ会話が増えていきます。

「この人なら、ちょっとしたことでも話していいかもしれない」と思ってもらえるなら、それだけでも意味があると私は考えています。

仕事とは関係ない話から、会話が始まることもある

以前は、スタッフとTikTokで見つけた計算クイズを一緒にやったこともあります。

仕事とはまったく関係ありません。

絵心をチェックしたときには、私も記憶を頼りに「ムササビ」を描きました。

完成したものが本当にムササビだったかは別として、こうしたどうでもいいような話で一緒に笑うこともあります。

そして、そんな会話の途中で、

「そういえば、さっきの仕事なんですけど……」

と、スタッフのほうから仕事の話が始まることがあります。

私はこういう瞬間を見ると、雑談そのものが目的なのではなく、話しかける最初のハードルを下げることが大切なのだと感じます。

手書きのノートの上に、翼のような腕を広げて飛んでいる猫のようなキャラクターの落書き。「ひゃっほう」と書かれており、勢いよく飛んでいる様子が線で表現されている。
※クラルテが記憶を頼りに書いた「ムササビ」(のつもり)

上司と部下でも、仕事とそれ以外は切り替える

私はスタッフと距離を縮めることを意識していますが、だからといって、何でも友達のように接すればいいとは考えていません。

仕事中は、仕事として必要なことを伝えますし、注意しなければならないことがあれば注意します。

一方で、仕事が終われば、そこで一度切り替えることも大切だと思っています。

上司と部下という関係だからといって、仕事以外までずっと緊張した関係でいる必要はありません。

仕事ではきちんとする。そのうえで、それ以外では少し力を抜いて話せる。

そんな関係のほうが、仕事中にも「ちょっといいですか」と必要なことを言いやすくなる場合があります。

「仲良くする」と「甘くする」は違う

スタッフと雑談をしたり、一緒に笑ったりすると、「仲良くなりすぎて仕事で注意できなくなるのでは?」と思われるかもしれません。

でも私は、そこは別の話だと考えています。

普段は話しやすくする。でも、仕事として必要なことは伝える。

距離が近いことと、仕事の基準を下げることは同じではありません。

逆に、注意することがあるからといって、普段から必要以上に距離を置く必要もないと思っています。

「話しやすさ」と「仕事上の責任」は両立できます。

あわせて読みたい

スタッフにどこまで注意するべきか迷ったときの基準については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

部下を注意するときの基準|どこまで言うべきか迷ったら

報告しない部下を変える前に「話しかけやすさ」と「報告の基準」を見直す

部下が報告しないとき、「どうして報告してくれないんだろう」と相手の問題だけを考えてしまうことがあります。

でも、本人は「報告したくない」のではなく、

  • 今話しかけていいのか分からない
  • こんなことまで報告していいのか分からない
  • 自分でもう少し何とかしてから話そうと思っている
  • いつ報告すればいいのか分からない

という状態なのかもしれません。

だから私は、報告がないときほど、自分の側も振り返るようにしています。

「報告しない人」と決めつける前に確認したいこと

  • 話しかけにくい雰囲気になっていないか
  • 忙しそうに見えていないか
  • 報告すると怒られると思わせていないか
  • 何を報告してほしいのか伝えているか
  • どのタイミングで報告してほしいのか伝えているか
  • 自分が休みの日でも連絡してほしい内容を決めているか
  • 「迷ったら報告して」と伝えているか

もちろん、何度伝えても必要な報告をしない、意図的に隠してしまうなど、本人の行動について改めて話す必要がある場合もあります。

ただ、最初から「報告しない部下だから」と決めつけてしまうと、その背景にある「話しかけにくさ」や「報告基準のズレ」には気づけません。

私は、報告を増やすために一方的に「報告して」と言うより、

「何を・いつ報告するか」を伝える。
そして「迷ったら言ってね」と伝える。

そのうえで、「この人なら話しても大丈夫」と思える関係を普段から作っていくことを大切にしています。

報告というのは、仕事上必要なコミュニケーションです。

だからこそ、仕組みだけでも、関係性だけでもなく、両方が必要なのだと思っています。

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仕事を教えるときの伝え方について、実際の品出しで起きた出来事をもとに紹介しています。

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「わかりました」と返事があっても、本当に内容を理解できているとは限りません。返事と理解のズレについてはこちらで紹介しています。

まとめ|報告しない部下を責める前に、報告しやすい環境を考える

部下が報告しないとき、「どうして言ってくれなかったんだろう」と思うことがあります。

でも、報告がない理由は一つではありません。

  • 今、話しかけていいのか分からない
  • こんなことまで報告していいのか分からない
  • 悪い報告なので言い出しにくい
  • 自分でもう少し何とかしてから言おうと思っている
  • あとで言おうとしてタイミングを逃している
  • 上司と本人で、報告する基準が違っている

私自身も、「それはもっと早く教えてほしかった」と思うことがある一方で、休みの日に連絡を受けて「これは明日でもよかったのに」と思うことがあります。

だから今は、単に「ちゃんと報告して」と伝えるのではなく、何を・どのタイミングで報告してほしいのかまで共有することが大切だと考えています。

「これって報告したほうがいいかな?」と迷ったら、一度言ってね。

そう伝えて、実際に報告を受けながら、「これはすぐ教えてほしい」「これは次でも大丈夫」と少しずつ基準を揃えていく。

そして、その基準を作るだけではなく、普段から「この人なら話しかけても大丈夫」と思える関係も作っておく。

私がスタッフと雑談をしたり、一緒に笑ったりしているのも、仲良くすることだけが目的ではありません。

「そういえば、さっきの仕事なんですけど……」と必要なことを話し始められる、その入口を作るためでもあります。

報告しやすい職場を作るなら、
「話しかけても大丈夫」と「何をいつ報告するか」の両方を作る。

何でも自由に話せるだけの職場ではなく、仕事では必要なことをきちんと伝えられて、困ったときや迷ったときには「ちょっといいですか」と言える職場。

私は、そんな関係をスタッフと作っていきたいと思っています。